[ オンライン ] エコ&セーフティ住宅まつり2020

健康長寿のために
住まいができること

SPECIAL TALK

寿命を延ばすだけでなく、心身ともに健康で自立して暮らせる期間『健康寿命』を延ばすためサンヨーホームズでは住まいと健康に関する多くの調査や研究を行ってきました。 その取り組みに長年ご協力いただいておりテレビや新聞、雑誌でもご活躍される慶應義塾大学の伊香賀俊治教授と、サンヨーホームズの細井昭宏の対談をお届けします。

ほそいあきひろ

細井 昭宏

サンヨーホームズ株式会社 常務執行役員 ライフサポート事業本部長 兼
ロボット事業課長

熊本大学工学部建築学科卒業、同大学院修了。当社、商品開発室長、事業戦略室長、介護事業「サンアドバンス株式会社」代表取締役を経て、2018年より現職。 日本公衆衛生学会、日本生活支援工学会会員、一般社団法人 健康・省エネ住宅を推進する国民会議 理事

SPECIAL
TALK

いかがとしはる

伊香賀 俊治

慶應義塾大学 教授
理工学部システムデザイン工学科
 

早稲田大学理工学部建築学科卒業、同大学院修了。㈱日建設計、東京大学助教授を経て2006年より現職。専門分野は建築・都市環境工学。博士(工学)。日本学術会議連携会員、日本LCA学会副会長、日本建築学会 学術理事、空気調和・衛生工学会技術理事などを歴任。

細井「お客様のご協力で住まいと健康との関係が わかってきました」

細井 伊香賀先生と私の出会いは2008年にはじまった国土交通省「住宅・建築物省CO2先導事業」でしたね。省エネと健康に対する当時としてはかなり先導的な提案で、4年連続5回の採択をいただきました。そして事業成果の検証のため、住まいと健康との関係を調査することになりました。


伊香賀 今でこそ、断熱性能の低い古い住宅では夏の猛暑時、室内にいても熱中症になる危険が知られますが、当時はそんな意識もなかった頃ですね。いち早く健康に取り組んでいたサンヨーホームズさんとの共同調査は、その後の大規模調査につながるベースになっています。


細井 HEMSや蓄電池など先進の機器を導入した650世帯に、元の住まいと新居では健康状態にどんな変化があるかを調査させていただきました。ご協力いただきました皆様には、温湿度測定に加え活動量や血圧、心電など毎日計測いただき、大変ご面倒をお掛けしました。


伊香賀 住まいの環境が、住む人の健康状態に影響することが明らかになった、先駆けとなる調査でしたね。


細井 その頃私が着手したのが当社初の介護事業で、デイサービスの利用者様の健康調査も先生にお願いしたのが次の取り組みです。

 

伊香賀 すでに要介護になられている、リハビリ型デイサービスの利用者様達にご協力いただいたおかげで、介護予防のためにも住環境は重要なことが示されました。


細井 そして、2014年からスタートした全国規模のSWH(スマートウェルネス住宅)事業※につながり、現在も継続中なんですね。

 

伊香賀 はい。2300世帯以上、4000人以上の方に健康調査を行っています。断熱改修するお客様を全国から募集するのですが、サンヨーホームズさんのお客様は200世帯以上にもなり、とても感謝しています。


細井 当社が早くから健康に配慮した住宅を手掛けられたのは先生のご尽力と、何よりも調査にご参加いただいたお客様のおかげです。この紙面をお借りし、改めてお礼申しあげます。皆様ありがとうございました。

伊香賀「病気を防ぎ、生命を守るために断熱は必要です」

細井 住宅内の事故として夏なら熱中症の危険がありますが、冬はどんな心配がありますか?

 

伊香賀 日本ではヒートショックによる入浴中の溺死が、交通事故死を上回っています。浴室だけでなく、廊下や洗面所、朝に暖かい布団から出たときなど、家の中の寒暖差が血圧を急激に変動させること、それが毎日繰り返されることが問題です。血管の収縮と拡張の連続が血管壁を傷つけ、硬くなって詰まりやすくなるんです。

 

細井 それが心筋梗塞や脳卒中などを引き起こすんですね。

 

伊香賀 脳血管への影響もMRIで確認されていて、暖かい家に住んでいると脳の状態が若いんですよ。1℃あたり2歳、5℃の差では10歳若いといわれています。暖かい住まいは認知症予防にもつながるわけです。

 

細井 デイサービス施設での健康調査では、暖かい家に住む人と寒い家に住む人とでは、要介護状態になる年齢に4年の開きがありましたね。

 

伊香賀 介護を必要とせず、自立して暮らせる健康寿命の期間を延ばすことはすべての人の目標なので、4年の違いはかなり大きいと思います。細井 たった2℃の差で介護予防になることに驚きましたが、それだけ人間は温度環境に影響を受けるということですね。

 

伊香賀 2℃の違いはバカになりません。住まいの断熱は生命を守るために必要なことで、多くの方にその重要性を知ってほしいですね。

 

細井「食事や運動、生活習慣と同じ住環境は健康を支える柱ですね」

伊香賀 SWH(スマートウェルネス住宅)事業の最新調査では、全国の住まいの平均的な冬の居間室温は16.7℃。WHO(世界保健機関)では「冬季最低室温を18℃以上に」と勧告しており、日本では約6割が下回るのが現状。寝室の平均室温は12.6℃、寝室も脱衣所も18℃以上の住まいは約1割です。残念ながら世界基準を全然クリアしていないんですね。

 

細井 先生のこれまでの調査では、断熱改修をすることで様々な健康メリットがある傾向が示されています。血圧を例に挙げても、これだけ住まい環境が影響することを多くの方はご存知ないのではないでしょうか。

 

伊香賀 血圧に影響するさまざまな要因があり、男性より女性は低め、高齢者の方が高めといった性別や年齢によるもの。肥満、塩分、野菜不足、喫煙、飲酒、などの生活習慣によるもの。それに加えて室温が著しく悪さをすることが解明されています。

 

細井 そう考えると、住まいの断熱改修をすることは食事や運動、生活習慣を見直すことと同じように、健康づくりの柱ともいえますね。

 

伊香賀 その通りです。今、要介護期間が女性で13年、男性が9年といわれます。それが断熱改修をすることでもっと短くできる。それだけ介護や病気治療にかかる費用を減らせると考えれば、リフォーム費用はあっという間に元がとれますよ(笑)。

伊香賀「室内の温度環境は子供の成長にも大事です」

細井 今、幼稚園調査にも取り組んでいらっしゃるそうですね。

 

伊香賀 文部科学省が提唱する「幼児期運動指針」では子供たちの運動不足が問題視され、肥満や低体重、運動能力の低下、学力の低下も招いています。人間は6歳までに神経系の9割が形成されるため、卒園までにいかに身体を動かしたかでその子の一生が決まってしまう。これは急務なんです。

 

細井 それは驚きました。具体的にはどんな調査ですか?

 

伊香賀 幼稚園の室温の測定と、幼児の運動量や病欠状態を調べます。同時に自宅調査もやっていて、子供の寝室の室温を測定しています。

 

細井 最近の幼稚園はしっかり暖房していそうですね。

 

伊香賀 そうなんですが、子供たちがいる足元( 床上10㎝)の温度が9℃しかない園も。暖かい園ほど幼児の運動能力は活発で、活発な子は低体温にはならないし、病欠も少ないです。

 

細井 自宅の室温との関連はありましたか?

 

伊香賀 幼稚園も自宅も暖かい環境にいる幼児に比べて、どちらも寒い環境の子は病欠が2・6倍でした。

 

細井 幼児の親世代はこれからマイホームを考える年代なので、そういった結果をぜひ知ってほしいですね。

 

伊香賀 高齢者だけじゃなく、子供にとっても温度環境は大切。その知識があると、いつか住まいづくりをするときも役に立つと思います。

細井「みんなの優しさが生まれココロもカラダも元気になる住まいを」

伊香賀 建築と医学が連携した健康調査はあまりなかったのですが、住まいと健康の調査は一緒にやらなければできません。医学といっても治療や予防、介護など専門が分かれ、サンヨーホームズさんは先頭を切ってそれをつなぐ部分を担っておられますね。

 

細井 当社は住まいを軸に、暮らしの全般を手掛ける7つの事業を展開しています。だからこそ柔軟に、各方面から健康寿命に取組めます。またこれが当社の強みであると思います。今後の住まいの可能性について先生はどうお考えですか?

 

伊香賀 普段の生活の中で毎日の睡眠や血圧などを測定できて、診断やアドバイスができたらいいですね。鏡の前に立つだけで自律神経の状態がわかるとか。「寄り添いロボット」はどんな発想で生まれたんですか?

 

細井 介護事業の現場で、高齢者の方々が娘さんや理学療法士がそばにいると勇気を出して歩く姿を見て。ロボットというよりも、天井の一部が歩み寄って足の機能を支える装置という考え方でしょうか。家にいても一人にしないことがコンセプトで、装着するジャケットはさまざまなセンサーが組み込まれているのですが、家族が支えているような安心感をめざしています。

 

伊香賀 住まいの一部が進化して、ロボットのように住む人をサポートするんですね。

 

細井 私は住宅から介護の現場を経験した事で、今まで見えてなかったことが見えてきました。私たちが何かの情報をもとに、本人の変化に気づき、話しかけ寄り添うことで、心も体も元気になるんですよ。先生との調査で得たデータをもっと活用すれば、もっと多くの命を守れます。本当の意味で人に優しい住まい、そのひとつが「断熱」かもしれません。

 

伊香賀 水まわりや間取りをリフォームするタイミングや、住み替えを考える時には、ぜひ住まいの断熱を見直して、健康寿命を延ばしていただきたいですね。

寄り添いロボット
転倒を感知するとブレーキがかかり、緩やかに転倒させて歩行をアシスト。病院やリハビリ施設の歩行訓練に導入されています。

寄り添いロボット

転倒を感知するとブレーキがかかり、緩やかに転倒させて歩行をアシスト。病院やリハビリ施設の歩行訓練に導入されています。

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