
住宅には自分達だけが住む仕様以外に、あわせて賃貸収入が得られるよう、賃貸スペースを確保する仕様もあります。このような住宅を「賃貸併用住宅」といいますが、賃貸収入が得られる点を魅力に感じる人もいるのではないでしょうか。
今回は賃貸併用住宅の概要を説明するとともに、賃貸併用住宅のメリットおよびデメリット、さらには建てる際の注意点について解説します。
あわせて賃貸併用住宅の活用方法も紹介しますので、これから賃貸併用住宅を建てようと考えている方は参考にしてください。
賃貸併用住宅はどんな人に向いている?
賃貸併用住宅とは、建物の中に自宅部分と賃貸部分がある物件のことを指します。自宅部分の割合が50%以上であれば住宅ローンが利用できるため、立地的に賃貸需要が見込めるなら賃貸併用住宅を考えてもいいでしょう。
具体的には2階部分に自分達が住み、1階は賃貸として貸し出すなどです。また、将来の同居を見据え、賃貸併用住宅として活用する方法もあります。
さらに、賃貸部分があれば相続時の評価額が下がるため、相続税対策としての利用も可能です。
このような性質から、以下に該当する人は賃貸併用住宅に向いているといえるでしょう。
・家賃収入を得たい人
・相続税対策をしたい人(実家や土地を相続した等)
・将来、両親や子どもの家族と一緒に住みたい、二世帯同居したい人
賃貸併用住宅のメリット・デメリットとは?
賃貸併用住宅を建てることを考えるにあたり、メリットおよびデメリットをしっかりと理解しておくことが大切です。
賃貸併用住宅のメリットは以下のとおりです。
・貸併用住宅なら住宅ローンを利用して賃貸経営が始められる
・賃貸併用住宅は所得税や相続税を抑える効果が期待できる
・賃貸併用住宅だと、入居者様からの家賃収入でローン返済が行える
また、次のようなデメリットがある点にも注意しておきましょう。
・「空室リスク」で家賃収入が減る恐れがある
・建物の老朽化によって修繕や交換のための費用が負担になる
・入居者様からの相談やクレームを直接受ける機会が増える
メリットおよびデメリットの内容について、詳しく解説します。
メリット
まずは、賃貸併用住宅のメリットを3つ紹介します。賃貸併用住宅に興味がある方は、これらのメリットを最大限活用できるように意識しておくことが大切です。
賃貸併用住宅なら住宅ローンを利用して賃貸経営が始められる
通常、住宅ローンが利用できる住宅は、自分たちが住む住宅に限られます。しかし、一定の条件を満たすことができれば、賃貸併用住宅でも住宅ローンの利用は可能です。
賃貸併用住宅で住宅ローンを利用するためには、原則として建物全体の延べ床面積のうち自宅(居宅)部分が50%以上でなければなりません。もし、賃貸部分の方が50%以上になるなら、住宅ローンではなく不動産投資ローンを利用しなければならなくなります。賃貸併用住宅で住宅ローンを利用できる条件は金融機関によって異なりますので、事前に商品概要説明書で確認しておきましょう。
住宅ローンと不動産投資ローンの違いは、住宅ローンでは不動産投資ローンよりも低い金利が設定されている点にあります。また、不動産投資ローンは住宅ローンに比べると、審査が厳しいといわれている点も挙げられます。
賃貸併用住宅は所得税や相続税を抑える効果が期待できる
続いて、賃貸併用住宅では、所得税や相続税を抑える効果が期待できます。なぜなら、賃貸収入は不動産所得となり、仮に不動産所得が赤字になった場合、給与所得と相殺できるからです。このことを「損益通算」といいます。
賃貸併用住宅の不動産所得金額は以下の式で求めます。
不動産所得金額=賃料収入-賃貸経営を行う上で必要な経費
不動産所得を求めるにあたっては、修繕費や入居者様を募集する際の広告費のほか、減価償却費、固定資産税なども必要経費に充てることができます。結果として収入より経費の方が大きくなる可能性があり、そのときは損益通算を行うことで、最終的に支払う所得税を抑えられるのです。
ただ、費用にできるのはあくまでも建物全体に対する賃貸割合のみですので注意してください。
賃貸併用住宅は家賃収入でローン返済が行える
賃貸併用住宅は一定の条件を満たすことで住宅ローンが利用できます。一方で、住宅ローンが使えなかった場合は、不動産投資ローンを利用しなければなりませんが、いずれにしても家賃収入をローンの返済に充てることで、返済の負担を抑えられるといったメリットが得られます。
言い方を変えれば、賃貸併用住宅を建てることで家賃収入を得られ、その結果、自宅を持つことができるというわけです。
また、ローンを完済した後も賃料収入は入ってくるため、オーナー様の収入になります。そのため、老後の資産形成などといった将来の不安に対して有効に活用できます。
デメリット
賃貸併用住宅のメリットを紹介しましたが、デメリットも理解しておく必要があるでしょう。賃貸併用住宅を考えるうえで、デメリットは非常に重要なものですので、内容をしっかりと理解し、必要な対策を講じることが求められます。
「空室リスク」で家賃収入が減る恐れがある
賃貸併用住宅を建てたからといって、賃貸部分が満室になっているとは限りません。賃貸部分が空室の場合は家賃収入が入らないというリスクを意識しておかなければなりません。
また空室の場合でも建物自体の修繕は必要になるため、あまり空室の状態が続くと賃貸部分の経営自体が難しくなってしまいます。賃貸収入をローンの支払いに充てることを考えていたなら、ローンの支払いが難しくなることも考えられます。
そのためにも入居者様のニーズに合わせた間取りやデザインを取り入れるなどを工夫するほか、空室になることがわかった時点で不動産会社に募集を行ってもらうなどの対策を講じることが大切です。
建物の老朽化によって修繕や交換のための費用がかかる
新築で建てた住宅も、年月が経つにつれ老朽化が目立ってきます。これは賃貸併用住宅でなくても言えることです。屋根や外壁など外回りだけでなく、家の中の設備なども含めて修繕計画を立てたうえで、それに沿った修繕費を準備しておかなければなりません。
なぜなら、建物の老朽化が目立つと次の入居者様が見つかりにくくなる可能性が高くなるからです。
場合によっては計画よりも早く設備が故障することも考えられます。特にそれが賃貸部分だった場合、入居者様への負担を抑えるためにも迅速に対応するようにしましょう。
また、賃貸部分については入居者様が入れ替わる時期にきちんと原状回復を行うことで、次の入居者様にも喜んでもらえたり、入居希望者も現れやすくなったりするでしょう。
入居者様からの相談やクレームを直接受ける機会が増える
賃貸併用住宅はオーナー様と入居者様が同じ建物に住んでいるため、入居者様からの相談やクレームを直接受ける機会が多くなるという特徴があります。そのため、夜間や土日でも対応しなければならなくなり、オーナー様の精神的な負担が増える可能性があります。
クレームの中でも多いのは騒音ですが、これについてはあらかじめ間取りを工夫することで対策できる場合があるでしょう。
もし、オーナー様だけでは相談やクレームについての対応が難しいと感じた際は、信頼できる管理会社に管理を委託することも考えましょう。
賃貸併用住宅を建てる時に意識したいこと
賃貸併用住宅を建てるときに意識したいことは、入居者様との距離感です。同じ建物に住んでいるとはいえ、他人同士ですのでプライバシーの確保は必須です。
対策としては、自宅部分と賃貸部分の階を分けるなどが有効です。
また、賃貸経営を長く続けるためにも、入居者様のニーズに応じた自由度の高い間取りを意識しましょう。そうすれば入居希望者が増える可能性も高まり、空室リスク対策にもつながります。
さらに、入居者様が安全にそして快適に暮らせるよう、耐久性の高い建物の建設を意識しておきましょう。
まとめ
賃貸併用住宅を建てるにあたっては、メリットとデメリットをしっかりと理解したうえで、入居者様に長く住み続けていただける工夫が必要です。
特にニーズに合った間取りや、耐久性を意識することで、入居者様に快適かつ安心して生活してもらえます。
また、空室リスク対策や老朽化への対策も常に心がけておきましょう。修繕計画やローンの返済計画をしっかり立てておくことも大切です。計画は一度立てたら終わりではありません。状況の変化に応じて見直すようにしましょう。
理想の住まいは暮らし方とともに変化します。広すぎる敷地を活用して賃貸併用住宅に建て替えたり、当初は2世帯住宅にして同居した後、将来的に空いた部屋を賃貸併用住宅にするなど、暮らしの変化に応じたご提案が可能です。サンヨーホームズでは、リフォームや住み替え、建替えなどといった幅広い選択肢の中から、現在のお悩みを解決し、より快適に過ごすためのアドバイスをさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。
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